平成27年2月大歌舞伎 夜の部(歌舞伎座) |
がん闘病後、復帰の報があった後、偶然にも職場のエレベーターで三津五郎丈と遭遇することがありました。
舞台の姿と大違いでとても小柄で驚きましたが、それ以上にその素敵なオーラにドキドキしたものでした。
とても残念ですが、みのやっほー(これ、流行りますかね、巳之助くん。)の成長を応援したいと思います!
さて、2月の大歌舞伎。
今月は、迷うことなく、吉右衛門様の「一谷嫩軍記」目当てで夜の部です。
一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)陣門組打
熊谷次郎直実吉右衛門
熊谷小次郎直家/無官太夫敦盛菊之助
玉織姫芝 雀
一谷嫩軍記「陣屋」の前段となる演目ですが、話の結である陣屋のほうが上演回数が多く、こちらは観劇です。
「陣屋」がどうしても、感情移入できず、いつか見たいと思っていた演目です。
大まかな筋書きは、熊谷が恩義ある敵方の息子の命を救うため、息子を自らの手で討ち(陣門組打)、首実検を終えたあと、無常で出家する(陣屋)というお話です。
吉右衛門様の当たり役として有名です。
吉右衛門様のすごいこと!!
敦盛を救うため、息子小次郎を討つ。
その思いを実行に移した時(小次郎と見せかけて実は敦盛を抱えて花道に引っ込む)に見せる苦悩の表情。
小次郎を敦盛として扱いながらも、脚の砂をやさしく払ってやる手に見せる親心。
そして、首を持ち、勝ち鬨を上げる姿。
玉織姫と小次郎という若い二人の遺体をそっと流すときの祈る思い。
そして、愛馬に見せる全ての感情。
もう、悲しくて悲しくて、張り裂けそうでした。
これがあるかた、続く陣屋で出家するんですね。
陣屋だけで「ちょっと感情移入しにくい」なんて言ってゴメンなさい。
この演目を毎日演じるとなると、吉右衛門様は辛いのではなかろうか?と心配になるほど、こちらまで胸が張り裂けそうになる悲しい話です。
しかし、吉右衛門様は別格ですね。
玉織姫の芝雀丈の愛らしさは言うまでもありませんが、菊之助の小次郎も清々しく良かったです。
平家方の笛の音に聞きほれる感受性の豊かな前半、そして父に自らを敦盛として討てと迫る腹をくくる後半。
通して気品溢れる若武者となっており、美しいです。
この二人が義理の親子となり、共演もますます増えるかと思うと、楽しみでなりませんね。
あと一つあげるならば、平山は左団次のほうが合っているかも。。。
神田祭(かんだまつり)
鳶頭菊五郎
芸者時 蔵
同芝 雀
同高麗蔵
同梅 枝
同児太郎
菊五郎の鳶頭が粋でいなせです。
その一言に尽きます。
水天宮利生深川(すいてんぐうめぐみのふかがわ)筆屋幸兵衛 浄瑠璃「風狂川辺の芽柳」
船津幸兵衛幸四郎
萩原妻おむら魁 春
車夫三五郎錦之助
娘お雪児太郎
娘お霜金太郎
差配人与兵衛由次郎
代言人茂栗安蔵権十郎
巡査民尾保守友右衛門
金貸金兵衛彦三郎
一言で言うと、貧乏で救われない武士のお話。
初めて見ますが筋書きを読んで、期待していなかった演目。
しかし、幸四郎が良かったです。
正直に生きるものの、貧困から脱することができない前半、そして娘たちに心中を申し出られ、ついに発狂してしまう後半。全編通して嫌味にならない正直さが表されていたかと思います。
児太郎の姉娘の健気さも際立っていました。
あとは、相変わらず錦之助丈も男前。
救いようのない貧しい男の話な上に、水天宮のステマか?と思うストーリーですが、意外と良かったです。
配役が良かったのかな。